画になる瞬間

SNSなんかを見ていると、奇跡としかいいようのない瞬間を収めた写真が至る所に跋扈している。構図、色合い、仕草、その全てが、偶然のはずなのにドンピシャの画。撮影者の勘というか観察眼というか、そういう研ぎ澄まされた何かがそれを可能にしているんでしょう。当然、常時ぼけーっとしている自分には縁遠い話なのですが。別に構いません。とりわけ写真が好きというわけではないので撮ってみたいなんていう望みはほとんど持ち合わせていないから。けれども、しかしながら、おお、と興奮するような瞬間には立ち会ってみたいと、人並みには思っているわけです。

そんな淡い期待を抱いている私は今日、先に述べたほどではないがこれは画になる、と思った光景に出くわすことができた。めでたい。

それは職場のあたりをうろついていたときのこと。狭い路地に面する一画。巨大なショベルカーが鎮座しているのが遠くからでもわかり、ああ家でも壊したんかなとぼんやり思いながら私はその横を通りすぎんとしていた。そこに差し掛かると、案の定クズと化した木材の山。ああ、と目を背けて、目の前の景色を思い返し、はっとする。

廃材、ショベルカー、そしてその傍ら。蹲踞してスマホを眺める工事現場の人。これ。

文章で見ると何てことないように思われるかもしれない(文章力がないのはこの際置いておく)。しかし自分には、巨大なモンスターを軽々とあしらい、バラし、つまらなそうに休息する手練の戦士にしか見えなかったのです。工事現場のおじさまが、なんと様になることか。

見方次第で、日常の風景もおおっとなるようなものに見えるような気がした、そんな午後でした。

 

追記

今日はエアメールの日らしい。何で?